第二次世界大戦後、1度だけ肥前より買い付け、その後廃業する酒屋に行っては甕を分けてもらい、発酵・貯蔵に足る甕を確保しました。甕仕込みは多くの工程に手間がかかるため多くの酒造所ではステンレスタンクにとって代わられていますが、石川酒造場では現在でも『甕』で仕込み、蒸留直後の新酒を貯蔵するのに『甕』を使用しております。
1回の仕込みで20本の一石甕(約180L)を使用します。
甕を水で洗浄し、仕込水を入れます。甕の大きさ・形が違うため水量を測る尺棒はそれぞれの甕専用のものがあります。その後20甕に酵母を入れます。
製麹機(回転式ドラム)から黒麹菌がびっしりついた米麹を出し、専用の容器に入れます。(この容器は甕専用に造られた石川酒造場独自の道具です)
この容器を吊り上げて甕の上に持っていき、20甕1つ1つに米麹を入れていきます。
最後に温度調整をするための冷水を流す蛇管を設置し仕込み完了。
石川酒造場のもろみ甕は全部で80甕。(4仕込分)毎日盆も正月も休み無しで、80甕のもろみを攪拌します。(80甕攪拌すると約4時間かかります)。
攪拌することでもろみが均一化しより良い発酵環境を作り, その都度温度をチェックし、温度管理を行います。
甕にホースを差し込みポンプを使って一甕一甕もろみを蒸留機に移動します。
もろみの移動が終わったら空になった甕を洗浄します。頭を突っ込み一甕一甕手で洗っていきます。最後にアルコールを噴霧してカバーをします。
蒸留直後の新酒は2~3ヶ月は甕に貯蔵します。蒸留直後の新酒を甕に貯蔵すると新酒独特の「みーかじゃー」と呼ばれる匂いを和らげその後の熟成の手助けにもなります。
お酒はポンプで約60本の一石甕に移動します。一甕一甕大きさ・形が微妙に違うためお酒の深さを測定し、量を調べます。
2~3ヵ月後、再びポンプを用いてステンレスタンクに移動し、そこで本格的な貯蔵を行います。
10年以上の古酒(クース)については三石甕に貯蔵してじっくり熟成させているものもあります。